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中国で加速するエコシティ建設~エコ住宅に強い日本企業にチャンスを

2012年2月14日 11:02

経済発展が急激に進む中国都市部では、近年環境汚染が深刻化し、環境問題は都市部における住民の重要な関心事となっています。中国政府もこうした環境悪化に少しでも歯止めをかけようと、近年環境保護に関する政策や省エネ・新エネルギーの利用を推進するエコシティの建設を積極的に進めています。今回は、中国で開発が進むエコシティの建設について報告します。


江蘇省で進むエコシティの建設プロジェクト


筆者は2011年末、江蘇省で開発中のエコシティの視察に行ってきました。現在は、開発用地の半分以上が依然更地となっていますが、将来はオフィスや商業施設のほか、人口3万人が居住する住宅エリアとして整備される予定です。同プロジェクトは政府系デベロッパーが中心となって開発しており、エリア内の建築物は、すべて一定の環境排出基準を満たした建物のみが建設されています。排出基準を満たしている物件としては、(1)断熱ガラスや省エネ建材などエコ製品が数多く使用されている(2)太陽光発電システムのようなクリーンエネルギーが利用されている――などが挙げられます。また、プロジェクト内の道路に設置されている街路灯は、すべてLED(発光ダイオード)が使用されており、従来の街路灯に比べかなりの節電効果につながると期待されています。


同プロジェクトの開発は、1990年代から計画されていたにもかかわらず、途中開発資金不足に陥り、工事が一時ストップしていました。しかし、近年の環境保護政策が追い風となっていることに加え、近年の不動産価格の上昇により、デベロッパー(地方政府)も資金力が豊富になっていることから、ストップしていた開発が再開されているケースが増えています。江蘇省の同エコシティも2009年から開発が再開され、すでに完工している住宅プロジェクトもいくつか出てきています。


中国で建設中の主なエコシティ


ジェトロ北京によると、2011年3月時点で中国全土で建設されている主なエコシティ(開発ストップ中のプロジェクトも含む)は計22カ所に上ります。特に、北京、天津、江蘇エリアでの開発が活発に行われており、開発総面積は、924平方キロ(東京23区の面積が621平方キロ)に達しています。


日本でもよく知られている天津エコシティは、すでに内外の大手デベロッパーが住宅や複合ビルの開発に参画することを発表しており、周辺の不動産価格は近年右肩上がりに上昇しています。日系デベロッパーでは三井不動産レジデンシャルが、天津エコシティで大規模な住宅開発プロジェクトに参画することを発表し、日本のメディアでも大きく注目を集めました。エコ住宅の開発に経験豊富な日系デベロッパーや日系ハウスメーカーは、今後中国エコシティでの不動産開発に食い込める大きなチャンスが訪れていると言えるでしょう。日系企業にとっては、急ピッチに開発が進められているエコシティの建設が、中国との経済関係に新しい息吹をもたらす可能性があります。なお、2011年の天津の国内総生産(GDP)成長率は、17.5%と全国でもトップクラスとなりましたが、こうした急ピッチに開発が進められているエコシティの建設も、経済成長に大きく貢献していると言えます。


エコシティ開発の問題点


急ピッチに進むエコシティの建設ですが、問題点も多く、プロジェクトが延期およびストップしているケースが多々あります。問題点としては、以下のような点が挙げられます。
(1)エコシティにおけるコンセプトが明確に統一されていない
(2)エコシティの建設には膨大な資金を必要とする
(3)エコシティの建設と称して、ただの不動産開発に終わっているケースが多い
(4)エコシティの建設において、国内に参考となる事例が極めて少ない
(5)政治的な要因でプロジェクトがストップするリスクがある


最も重要となる開発資金は、現在中国政府が各プロジェクトに膨大な資金を援助しており、資金面での負担はかなり和らいでいます。しかし、前述したようにエコシティにおけるコンセプトが明確に統一されていないため、結局はただの住宅開発プロジェクトに終わってしまっているケースがほとんどです。


2010年9月時点で、中国全体で400の市・県において、エコシティ(ほとんどが小規模のもの)の名目で建設を進めていますが、大部分のプロジェクトがエコシティの名を借りた、ただの不動産開発と指摘されています。中国政府は、こうした問題を解決するためにも、今後資金を援助するだけではなく、明確なエコシティの開発計画を考案し、本当に環境にやさしい都市づくりを形成することが一番の課題となるでしょう。

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